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千原ジュニアのIPPONグランプリ優勝に異議殺到

-第7回の出来事-

IPPONグランプリ第7回は絶対王者バカリズムとの激闘の末千原ジュニアが優勝した。
念願だった優勝を果たした千原ジュニアが会場で祝福される中、お茶の間では不穏な声が。

「バカリズムの方がおもしろかった」
「ジュニアの回答は意味がわからない」
「ジュニアの優勝に納得できない」

こうした異議がツイッターやYahoo!知恵袋などに殺到としている。
一体今回のIPPONグランプリに何が起きたのか?その真相を追う。

決勝を制したジュニアの大喜利に視聴者は“?”

ドラムはこいつーー!!

ジュニアバッシングの最大の焦点は決勝を制した大喜利である。
視聴者が言うにはあまりにもひねりがないというのだ。

こんなひねりのない回答で一本獲得したことが信じられないとのことだが、
実際にはIPPONグランプリ史上に残る傑作だった。

だとしたら視聴者がひねくれているのだろうか?これには回答の解釈に秘密があった。

視聴者の解釈はこうだ。パンク頭の男が飛び上がって股ごしに背後のドラマーを紹介している。
もしもジュニア名人の意図がこの通りなら視聴者の指摘する通りつまらないことこの上ない。

だがこれはジュニア名人の真の意図とは異なる。本当は飛び上がっている奴がドラマーなのである。

写真には写っていない司会者がパンク頭の男を「こいつはドラマー!」と紹介し、
その紹介を受けてパンク頭の男が飛び上がったのである。

「でもドラマーは背後にいるじゃないか」と視聴者は言うだろう。だがそいつはドラマーではないのである。
だったら何でドラムの前に座っているのか?ドラムの前に座っているこいつは何なのか?
それがこの回答の真骨頂なのだ。

つまらないと感じるのは意図をつかみそこねたか誤った解釈をしているからである。
回答者の才能に問題があるわけでもなければ視聴者の感性に問題があるわけでもない。

あるいは正しく解釈してもつまらないと感じる視聴者がいるかもしれないが、それは好みの問題として割り切るしかないだろう。
だが少なくとも決勝戦を制したこの大喜利を「ひねりがない」と批判するのは紛れも無い誤解だと言っておきたい。

全ての元凶は機知を認めない「笑いonly」の前提

視聴者の中には回答の意図を察しながらも否定的な立場を取る者もいる。
彼らが言うには「笑い」はOKでも「機知」はNGだとか。
どうやらこの辺りに今回の騒動の元凶があるようだ。

大喜利とは「笑い」と「機知」の競技である。
したがってプロの芸人である出場者は当然技巧をこらし、審査員もその技巧を笑いと同等に評価するが、
この際、IPPONグランプリにはオリンピックのような明確な採点基準がないため自由採点方式が取られる。

すると笑い50点満点+機知50点満点という計算式だけではなく、
笑い100点満点or機知100点満点という極端な計算式が成り立つ場合がある。

つまり、技巧が拙劣でもとにかくすごくおもしろければ満点、
この逆に全然笑えなくてもとにかくうまいこと言っていれば満点という具合である。

一方肝心の視聴者はというと、ほとんどが笑い100点満点方式で採点している。
このため、技巧を駆使して勝ち上がってきた千原ジュニアに視聴者が反発する形になったと思われる。

確かに視聴者の判断は正しい。笑いonlyを前提とするならば。
しかし笑いor機知を前提とするならば、審査員の判断もまた正しいのである。

問題の核心は前提の相違にある。視聴者と審査員のどちらが間違っているということではない。
しかしもしも視聴者が笑いor機知の前提そのものを否定するならばそれは間違いだと言える。

誰でもミステリー映画とコメディー映画のおもしろさの違いは知っている。
完成されたミステリー映画は笑えはしないがおもしろい。ただおもしろさの種類が違うだけだ。

もちろんコメディー的要素を含むミステリー映画も存在する。それはミステリー映画に彩りを添える。
しかしだからといってミステリー映画にコメディー的要素だけを求めたりはしない。

仮に推理を省いてコメディー一色にしたとしたらそれはもはやミステリー映画とは呼べない。
大喜利もこれと同じことで、笑いonlyにしろという要求は丸い三角形を描けという要求くらいに矛盾している。

かたくなに大喜利に笑いだけを求める視聴者は、大喜利を何か別の物と混同しているのではないだろうか?
英語で例えるなら「笑い」はfanなおもしろさであり、「機知」はinteligenceなおもしろさである。

漫才では基本的にfanなおもしろさを前面に出すが、大喜利ではよりinteligenceなおもしろさが重視される。
inteligenceなおもしろさはちょうどパズルを解くようなおもしろさでありfanのおもしろさとはおもむきが異なる。

だから「笑いたい」と思ってIPPONグランプリを観戦した視聴者は千原ジュニアの大喜利に面食らってしまうだろう。
そして怒り出すだろう。あたかも注文したのとは異なる料理が運ばれて来た時の様に。

しかしジュニアシェフは何も注文を間違えたわけではない。視聴者の方が入る店を間違えたのである。
IPPONグランプリという新しく出来た店を、ファーストフード店か何かと勘違いしてしまったのだ。

気軽に楽しく食事をしようと思っていた視聴者は、技巧の凝らされた食べにくい料理に反発して店ごとひっくり返した。
料理だけではない。店ごとである。何故なら視聴者は「やらせだ」と言ってIPPONグランプリそのものを侮辱したからである。

長年腕を磨き、視聴者に最高のもてなしをしようとしたジュニア名人は、
無残にも床にぶちまけられた料理をどういう気持ちで眺めているのだろう?

いつか全ての視聴者がinteligenceなおもしろさにも心を開き、この料理を拾い上げてくれることを願って止まない。

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