尿酸値が高い状態を高尿酸血症という。
高尿酸血症は一次性(原発性)と二次性(続発性)に大別される。
前者は原因不明とされる症例で全体の95%を占める。
後者は原因のはっきりした症例で残りの5%を占める。
前者も後者と同様尿酸に起因する点では共通している。
ただ尿酸値の上がる大本の原因が不明とされている。
いずれも病型には尿酸排泄低下型と尿酸生成過剰型と混合型があり、
これらの病型の比率は70%:10%:20%になっている。
原発性尿酸排泄低下型で想定されるパターンは以下の3つである。
続発性高尿酸血症の原因は先天的には遺伝、後天的には以下の表の通りである。
尿酸生産過剰型 | 尿酸排泄低下型 | |
原発性 | PRPP活性亢進 | idiopathic |
HGPRT活性低下 | ||
続発性 | 核酸亢進(白血病/骨髄腫/多血症/悪性貧血/乾癬/火傷) | 腎障害(慢性腎炎/多発性嚢胞腎/尿崩症/鉛中毒)/腸障害 |
ATP亢進(糖原病/果糖/アルコール/運動/虚血・壊死) | 高乳酸血症(運動/アルコール/果糖不耐症/妊娠中毒症) | |
メチル化 | ケトーシス(ダイエット/脂肪過食) | |
薬剤(アデノシン/イノシン/ATP) | 薬剤(サイアイザイド系&ループ利尿薬/ピラジナミド/エタンブトール/シクロスポリン/ニコチン酸) | |
食事 | 肥満 | |
ダウン症候群 |
なお高尿酸血症になる男性は外食が多く、1)不明瞭な点はあるもののストレスが尿酸値を高める事は確かだとされる。2)
また痛風になりやすい性格(尿酸値が上がりやすい性格)のあることが、
東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センターの行なったアンケート調査で裏付けられている。3)
私たちは、痛風の人たちもストレスにさらされている
タイプA行動パターンが多いのではないかと考え、アンケート調査を行いました。
すると、タイプAの割合は痛風の人の40.1%、一般の人の28.3%で、
痛風の人には一般の人の1.5倍ぐらいタイプAが多いという結果でした。
※タイプA行動パターン=短気で向上心が強く活動的な性格。タイプBはその反対。
尿酸は腎臓からだけでなく腸からも排泄されることが明らかになっている。4)
尿酸を排泄する役割を担うタンパク質ABCG2は、腎臓だけでなく小腸や大腸にも存在しているが、
高尿酸血症患者の8割はABCG2を作る遺伝子に変異が認められた。
さらに遺伝子に変異があってABCG2の機能が低下している人は、
腎臓からの排泄は低下せず腸からの排泄だけが減少していた。
これまで非腎臓障害の高尿酸血症患者は尿酸生成過剰型とされていたが、
なかには腸障害による尿酸排泄低下型が含まれていたということになる。
鉛が原因で痛風になることがある。これを鉛痛風という。
鉛は近位尿細管機能に障害を引き起こすことで尿酸排泄能を低下させるからである。
このため溶接工、電池製造工、密造酒飲酒者は痛風のリスクが高い。
診断は血中鉛濃度の他、蛍光X線で骨中鉛濃度を測定する。
鉛痛風では腎障害、貧血、高血圧を合併するが肥満や高脂血症は見られない。5)
治療には鉛の排出を促す亜鉛のサプリメントを服用する。
日本ではいまのところ鉛中毒による痛風の症例は1例も報告されていない。
飢餓状態が続いて体内の脂肪利用が増えるとケトン体が発生して尿細管からの尿酸排泄を抑制する。6)
このためダイエットまたは絶食がきっかけで一時的に尿酸値が亢進して痛風になることがある。