尿酸値WIKI

絶対的完成度を目指す神WIKI尿酸値編

ユーザ用ツール

サイト用ツール


takai:syokuji

食事

食事はあまり関係ないとされるが食事と痛風の関連を示す明白な研究が蓄積されている。
プリン体だけが問題にされがちだがアミノ酸、脂肪、果糖、食物繊維も尿酸値に深く関与する。

日本では明治以前には全く痛風が見られなかったのに食生活が欧米化した途端に増え始めた。
マオリー族でも炭水化物中心の食事をしている間は痛風がなかったのに高脂肪食になってから激増した。

南太平洋諸島住民にリウマチ性疾患が多いことから痛風の疫学的調査が繰り返されてきたが、
1914年にマオリー族男子2例が発見されるまで痛風はまったく見られなかった。
この理由は食生活習慣が炭水化物を主とし、低蛋白、低カロリーで酒類を飲まないからだと推測された。

ところが第2次世界大戦後、食生活が一変した事でマオリー族に痛風・高尿酸血症が激増した。
男性の59%、女性の40%が高尿酸血症で、男性の10.2%、女性の1.8%が痛風を発症している。
食事の内容はビール、砂糖、脂肪の消費量が多く、総カロリー2560kcalのうち脂肪が125g(44%)を占める。

フィリピン人は居住地のいかんにより高尿酸血症の頻度が著しく相違するが、
これについても地域ごとに異なる食生活が関与しているとしか考えられない。
マニラ・セブ市では8%なのに対してハワイでは55%、アラスカでは85%にも及んでいる。

痛風歴のない米国男性4万7150人を対象にした12年間にわたる大規模な調査でも以下のような結果が出ている。1)

  • 肉類の摂取量が多い集団は少ない集団よりも痛風発症リスクが1.4倍高かった(P<0.02)
  • 魚介類の摂取量が多い集団は少ない集団よりも痛風発症リスクが1.5倍高かった(P<0.02)
  • 乳製品の摂取量が多い集団は少ない集団よりも痛風発症リスクが0.6倍低かった(P<0.001)
  • プリン体含有量の多い野菜の摂取では関連性が認められなかった。

唯一の例外はイヌイット人である。
クロー夫妻の調査によればイヌイット人は毎日蛋白質を280g摂取するにも関わらず痛風にならない。
おそらく何万年もの長きにわたって肉類を主食にしてきた結果、高蛋白の食生活に適応したのだと推測されている。

プリン体

摂食した食品中のプリン体の大部分が体内で尿酸になることが確かめられている。
腸管内の酵素で分解・吸収された後、生合成されたプリン体と同様に代謝されるからである。2)

実際に核酸4gを経口投与した実験では健常者でも血清尿酸値が約2倍になった。
東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター教授の山中寿もこうした症例の診察を経験している。3)

健康食品といわれるものの中に、核酸成分を大量に含むものがあります。
このような食品を毎日食べ続けて尿酸値が高くなった人も何人かみています。

ただし素因がないと暴飲暴食しても一時的に尿酸値が上昇するだけですぐに元に戻り高尿酸血症にはならない。4)

プリン体にもいろいろな種類があるが特にモノヌクレオチドに強い尿酸値上昇作用がある。
そしてアデニン類の方がグアニン類よりも尿酸値を上げる作用が強い。5)
また血清尿酸値の上がり方はRNAの方がDNAより大きく、
摂取した量が多くなるほど血中尿酸・尿中尿酸排泄量ともに増加する。6)

なおプリン体は水に溶けやすい性質を持つため煮たり茹でたりすることで約3分の1に減少する。7)
乾燥シイタケの戻し汁を例に取ると、プリン体の72%が戻し汁に移行することが確認されている。8)

アミノ酸

特定のアミノ酸を単体で投与すると尿酸値が上がるが蛋白質を投与すると逆に下がる。
すなわち一部のアミノ酸を除いて大部分のアミノ酸には尿酸値低下作用がある。
このことはアミノ酸の静脈注射により確かめられている。

尿酸値を上げるアミノ酸はグリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸の三種類であり、
このうちグリシンに関しては単独投与した実験で尿酸値の亢進が確認されている。

Lewisグリシンを過剰投与した時に尿中への尿酸排泄が増加する。
Bewinグリシンを投与すると痛風患者・健常者とも尿酸生成が亢進した。
Bishop痛風患者では尿酸に代謝されるまでの過程に近道があるらしく、標識をつけたグリシンが尿中尿酸に早く大量にあらわれる。

ちなみに牛乳由来の蛋白質と大豆由来の蛋白質を投与するとどちらも尿酸排泄を増加させる。
このため牛乳は血清尿酸値を下げるが大豆はそれ自体のプリン体の影響を受けることから血清尿酸値は変わらない。

果糖

果糖(フルクトース)は次の2経路により尿酸値を亢進させる。

  • 肝臓でリン酸化されてフルクトース-6-リン酸になりその代謝産物として乳酸が生成される。
  • リボース-5-リン酸の産生を増加させてプリン生合成を高めると共に再利用酵素HGPRTを抑制する。

米国男性4万6393人を対象にした研究によると清涼飲料消費量が月に1回未満の集団に比べ、
週5~6回、1日1回、1日2回以上では発症リスクがそれぞれ1.3倍、1.5倍、1.9倍高かった(P<0.002)。

果糖に関しても摂取量の多い集団ほど痛風発症リスクが高く(P<0.001)、
天然果汁100%ジュースや果物も痛風発症リスクの上昇に寄与した(P<0.05)。9)

なお、人工甘味料(キシリトールとソルビトール)も果糖と同様に尿酸値を亢進させる。

食物繊維

ラットを使って食物繊維(セルロース、キチン、キトサン、イヌリン、キサンタンガム)の影響を調べたところ、
食物繊維は食事に由来するプリン体(RNA)を大便としてより多く排泄させて血中および尿中の尿酸増加を抑制した。10)

1) Choi HK, Atkinson K, Karlson EW, et al : Purine-rich foods, dairy and protein intake, and the risk of gout in men. N Engl J Med 350:1093-1103,2004
2) Nishida Y, Hoshihara Y, Miyamoto T : Activity and effect of purine metabolizing enzymes in the digestive tract. Adv Exp Med Biol 253 A : 247-250,1989.
3) 山中寿『痛風とつきあう法』P.117
4) 加賀美年秀『痛風のすべて――歴史から食事療法まで』P.26
5) 日本薬学会『痛風予防のA・B・C』P.95
6) 日本薬学会『痛風予防のA・B・C』P.97
7) 日本薬学会『痛風予防のA・B・C』P.90
8) 日本薬学会『痛風予防のA・B・C』P.87
9) Choi HK, Curhan G:Soft drinks, fructose consumption, and the risk of gout in men: A prospective study
10) 日本薬学会『痛風予防のA・B・C』P.101
takai/syokuji.txt · 最終更新: 2016/07/10 15:33 by 119.104.109.22