乳幼児突然死症候群WIKI

絶対的完成度を目指す神WIKI乳幼児突然死症候群編

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原因

乳幼児突然死症候群の原因は不明である。
というよりも原因不明の乳幼児の突然死が乳幼児突然死症候群である。

したがって原因がひとつ解明されるたびに乳幼児突然死症候群の厚みは失われていき、
最終的に全ての原因が解明されれば乳幼児突然死症候群という病名自体が消滅する。

事実、以前と比べると確実に乳幼児突然死症候群の厚みは失われている。
過去に乳幼児突然死症候群に分類されていた疾患には次のようなものがある。

ボツリヌス菌感染症ボツリヌス菌感染による死亡はSIDSと見做されやすい。嫌気性菌であるため死後に培養しても発見されづらく、また死亡直前まで赤ちゃんが元気であることが多いためである。ボツリヌス菌は蜂蜜の中に少量ながらも混ざっていることがある。大人ではまったく問題ないが抵抗力の弱い赤ちゃんは死亡する可能性があるので、日本とアメリカの小児科学会は赤ちゃんに蜂蜜を与える際の注意を呼びかけている。1)
脂肪酸酸化酵素異常症生まれつき脂肪からエネルギーを取り出すための酵素が不足している病気。食欲不振になると身体全体のエネルギーの不足によって臓器の機能が低下して突然死亡する。発症前は元気でありなおかつ解剖しても原因がわからないためかつてはSIDSの中に含まれており、この疾患がSIDSの原因であると大々的に報道されたこともあった。フランスにおいてはSIDSと診断された189例中28例が実は脂肪酸酸化酵素異常症だった。2)
QT延長症候群心電図上のQ波とT波の間が長くなる疾患。あまり予兆がないのに突如心拍調律が乱れて死亡することがあり、SIDSと誤診された症例もあった。3)QT延長症候群は家族性もあり突然死亡の前に心電図などの検査が行なわれていない場合は診断困難につきSIDSとされる可能性がある。4)
オンディーヌの呪い 炭酸ガスへの反応性が生まれつき弱く睡眠中に呼吸が止まる病気。

仮説

これまでに乳幼児突然死症候群の仮説が生まれては消えていった。
その変遷は窒息・誤飲→慢性低酸素症→睡眠時無呼吸→覚醒反応の低下という経緯をたどり、
最終的に“睡眠時無呼吸からの回復不能”が真因だという結論に行き着いた。

無呼吸自体に問題は無い。基本的に赤ちゃんは無呼吸になるものだからである。
乳幼児突然死症候群で亡くなる前にたまたま取ることのできたポリグラフを調べてみると、
無呼吸状態そのものの頻度や深さは乳幼児突然死症候群にならなかった赤ちゃんのものと大差ないことが確認されている。5)
問題なのは無呼吸状態から再び呼吸を再開しないことなのである。

何故乳幼児突然死症候群では呼吸が再開しないのか?
その原因は脳の発育不全および脳に認められる微細な傷にあると考えられている。6)7)

脳の発育不全について:

生まれたばかりの頃にはたくさんある神経細胞の樹状突起はその後必要なものだけ残して消えていくが、
乳幼児突然死症候群で亡くなった子供の脳標本を調べてみると何故かいつまでもたくさん残ったままだった。
このことは呼吸中枢が正常児に比べて十分に発達していないことを意味する。
脊髄と肺の筋肉を結ぶ神経系における樹状突起の数についても同じ傾向が観察されたが、
脳から肺に「動け」と命令する出力系には異常がなく肺からの刺激を脳に伝える入力系にのみ異常が認められた。
このことは無呼吸に陥った場合そこからの回復が遅れることを意味する。

また乳幼児突然死症候群の剖検例には脳幹グリオーシスと呼吸中枢神経細胞化賦巣シナプスの発達遅滞があることが多い。
上位の呼吸中枢では延髄の網様体、迷走神経核、中脳の中心灰白質にカテコラミン作動性ニューロンの機能低下が示唆された。
さらに上位の基底核のカテコラミン線維は生後2ヶ月以降の乳幼児突然死症候群児で対照より少なく、
カテコラミン作動性ニューロンの上位への発達遅滞が示唆された。

脳に認められる微細な傷について:

乳幼児突然死症候群児の脳に特異的な所見はアストログリアと軟化層である。

アストログリアは損傷した神経を修復する役割を担う細胞だが、
乳幼児突然死症候群では呼吸を司る延髄においてこの細胞の数が多かった。

軟化層は脳内出血などの障害が起きた際に生じるが、
通常なら白質から始まっていくはずの軟化層が何故かその外側の灰白質付近に生じることが多かった。
また乳幼児突然死症候群に限らず生後数ヶ月までの乳児の脳を数多く調べてみると、
表面に近い軟化層は生まれた直後よりも生後数ヶ月の乳児に多かった。
このような軟化層は乳幼児突然死症候群と先天性心疾患だけに多いことから、
乳幼児突然死症候群は生前に慢性的な低酸素状態に晒されていたと考えられた。

残された課題は脳に傷を与えることになった原因の解明だが、この地点で現代医学はつまづいている。
ちなみにこれまでに立てられた仮説には以下のようなものがある。

うつ熱乳幼児は着せ過ぎられる傾向があり、死亡後しばらくしても体温が異常に高い。
ワクチン予防接種直後に乳幼児の突然死が繰り返し引き起こされる事件があったが因果関係は不明とされる。
胸腺リンパ体質SIDS児を解剖すると胸腺の肥大が見られることからそれが原因かと長らく信じられてきたが、その後胸腺が収縮する前に死亡するために大きく見えるだけだと判明している(一般の病死ではそれまでの病気によるストレスで副腎皮質ホルモンが分泌され胸腺が小さくなる)。8)
呼気炭酸ガス再呼吸Gntherothは生体内および実験室内の研究から通常の状態では呼気炭酸ガス再呼吸が乳幼児突然死症候群を起こすことはないとしている。9)
珍説「SIDSは赤ちゃんが胎児期の夢を見るため、呼吸をすることを忘れてしまう」、「何か気に食わないことがあって自殺する目的で呼吸を止める」など。10)

要因

乳幼児突然死症候群の直接的な原因ではないが発症の危険性を高める要因がいくつか明らかになっている。
リスク有りとされている要因はタバコ、うつぶせ寝、粉ミルクであり、
逆に不妊症、早期妊娠、異常妊娠、添い寝はリスク無しとされている。
その他追試されていないデータに関してはグレーゾーンという扱いになっており今後のさらなる研究が待たれる。

リスク有り
喫煙絶対的危険因子。喫煙を安全だとする報告は存在しない。妊娠中・授乳後のいずれにおいてもリスクを高め、両親とも喫煙しているとさらにリスクが高まる。
うつぶせ寝世界的にほぼ見解が一致している危険因子。うつぶせ寝防止キャンペーンにより乳幼児突然死症候群が激減した。
粉ミルク厚生省SIDS研究班の疫学調査ではうつぶせ寝以上のリスク判定。母乳が予防となると認める論文が多い中でアメリカとイギリスは例外的に粉ミルクにリスク無しとしているが、これは狂牛病の時と同様に政治的な理由によるのではないかと思われる。
保育園乳幼児突然死症候群は家庭よりも保育園で起きやすい。
リスク無し
添い寝添い寝の習慣の無い西洋からの報告ではリスク有りとされているものもあるがおそらく間違いだろうと目されている。
不妊症対照グループと比較して問題になることが多いと指摘する報告は存在しない。11)
早期妊娠結婚から妊娠までの期間が12ヵ月未満であった母親の割合はSIDS群:対照群=28%:17%だったがその差異は統計学的有意性を持たない。12)
異常妊娠以前の流産、中絶、死産、突然死において統計学的有意差は認められない。13)
グレーゾーン
標高海抜725メートル以上の土地においてSIDSの発生頻度が明らかに増加する。14)
経度太平洋沿岸でのSIDS発生頻度が大西洋沿岸より高い。15)
出産場所年間千件以上の出産を扱う大病院で分娩された場合の相対リスクが1.1なのに対して小規模の病院で分娩された場合の相対リスクは0.7。16)
舌癒着症SIDS26例中23例が舌癒着症でその症状の内訳は重度21例、中度1例、軽度1例だった。17)
PACAP遺伝子多型PACAP-KOマウスではSIDS児の解剖所見と同様にカテコラミンニューロンの減少が見られ、呼吸中枢――特に低酸素応答性の低下によって呼吸異常を起こすことが判明している。PACAP遺伝子多型との関連がアフリカ系アメリカ人の中で報告されているが、アフリカ系アメリカ人にSIDS頻度が高いのはPACAP遺伝子多型の影響かもしれない。18)
genin.txt · 最終更新: 2015/10/20 19:50 by kamiwiki